カイロプラクティック・ノート2

カイロプラクティック・ノート2

(BK-042177)
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商品の詳細

【商品概要】

「カイロプラクティック・ノート」第2弾 モーション・パルペーション編カイロジャーナル紙創刊当初から48号(1989年〜2003年)まで14年間にわたって連載された、中川貴雄D.C.の「モーション・パルペーション・ノート」に大幅な加筆、修正を加えた待望の一冊。

著者   中川 貴雄D.C.
判型   B5判/287頁
発行者  科学新聞社
発行年  2012年

【 主な目次 】
[1]モーション・パルペーション総論
1.モーション・パルペーションとは
2.正しいモーション・パルペーションを行うために
(1)モーション・パルペーションに用いる力の量
(2)モーション・パルペーションにおける力のかけかた
(3)コンタクト・ハンドの種類
[2]モーション・パルペーション各論
I.仙腸関節モーション・パルペーション
II.腹臥位胸・腰椎モーション・パルペーション
III.上部胸椎モーション・パルペーション
IV.頸椎モーション・パルペーション
V.環椎モーション・パルペーション
[3]脊柱モーション・パルペーションのまとめ
1.仙腸関節モーション・パルペーション
仙腸関節可動性検査の順序
1.骨盤の視診
2.骨盤のスタティック・パルペーション
3.仙腸関節のモーション・パルペーション
2.腰椎モーション・パルペーション
腰椎関節可動性検査の順序
1.視診
2.腰椎のスタティック・パルペーション
3.腰椎のモーション・パルペーション
4.坐位腰椎側屈モーション・パルペーションにおける注意点
5.腰椎で起こるサブラクセーション
6.注意すべきサブラクセーション PRI(LPS)、LPI(RPS)
3.胸椎モーション・パルペーション
1.胸椎モーション・パルペーションの順序
2.胸椎モーション・パルペーションで気をつけること
4.頸椎モーション・パルペーション
1.頸椎モーション・パルペーションの順序
5.環椎モーション・パルペーション
1.環椎モーション・パルペーションを行う前に
2.仰臥位環椎伸展および屈曲モーション・パルペーション
3.仰臥位環椎モーション・パルペーションの順序
4.頸椎および環椎モーション・パルペーションを行う順序
〜まえがき〜
1989年から書き始めたモーション・パルペーション・ノートは、2003年まで足かけ14年も掲載していただきました。長い連載でした。それをまとめて、「カイロプラクティック・ノート 2(モーション・パルペーション修得のために)」として、出版させていただくことになりました。

拙著「脊柱モーション・パルペーション」もそうですが、一般に、テクニックや検査法となど、技術を説明した本は、大まかな操作の順序や注意点が簡潔に書かれていることが多いものです。操作を行うにあたって重要であると考えられるところだけを要領よく書いてあります。

初心者にとっては、大まかなことができるだけ簡単に書かれている方が理解しやすいと思います。細かく、そして、たくさん注意しなければならない事柄が書かれていると文章が複雑になり、初心者にとっては、何が書いてあるかわからない難解な本となってしまいます。

しかし、要領よく簡単に書かれた本を読んだ人が、テクニックや検査法を100%すぐに使えるようになるのかといえば、残念ながらそうではありません。臨床では、これらの本に書かれたことを、患者に使うとなかなかうまく使えないことの方が多いのです。一見簡単だと思われる操作でも、注意しなければならない事柄がたくさんあります。そして、それらに留意して操作を行わなければ、検査やテクニックを正確に行うことができないのです。初心者にとっては簡単な方がよいのですが、熟練者にとっては、細かく書かれているほうがよいのです。

「脊柱モーション・パルペーション」では、簡単に操作法と注意事項を説明しました。しかし、それは初心者にとってはわかりやすいものなのですが、モーション・パルペーションに慣れ、使い始めた人にとっては、説明が十分ではありません。そのため、科学新聞社の「カイロジャーナル」を通じて、一つひとつのモーション・パルペーションに関して、“どの位の力で押したらいいのか?”“どこをどのように持てばいいのか?”“動かすときの角度はこれでいいのか?”“正常可動性とはどんな動きなのか?”“フィクセーションとはどんな感じなのか?”“可動性亢進とはどのような関節の動きなのか?”など、より細かい注意事項を掲載させていただくようになりました。

このように注意事項をあげると、“簡単そうな検査法なのに、なんだか難しそうだ”“自分には使えない検査法のようだ”と感じるかもしれません。しかし、あきらめてはなりません。どんなことでもそうなのですが、何回か試しただけですぐにわかるような簡単なものは、そんなに多くありません。

テレビ・ゲームでも最初からうまくできる人は少ないと思います(私はまったくできません)。ゲームに付いている説明書を読み、ゲームをやってみて、また説明書を読み返し、ゲームを繰り返す。何百回、何千回続けるうちにだんだんとうまくなってくる。もっとうまくなりたければ、さらに友達に聞き、攻略本を読んで、それでまたゲームを続ける。そうしていると自然にうまくなっていくものです。

空手、テニスやゴルフ、バレーボールというようなスポーツでも同様です。先輩やコーチに教えを受けて、基礎的なことから応用まで同じ動作を何千回、何万回続けます。そうすることによって、知らず知らずのうちに技術は上達していきます。この上達がある一定のところに達すると強くなってきます。しかし、競争相手は常に変わります。その変わった相手に対して常に強くあるためには、自分の持っている技術を相手にあわせて常に変化させていかなければなりません。いつも同じことをしていては相手に勝つことはできないからです。勝つためにはより一層、練習が必要になってきます。基礎の練習、そして競技の繰り返しで応用技術は上達していきます。

モーション・パルペーションも同じです。簡単そうに見える操作でも、難しいと思われる操作でも、繰り返し使ってみなければなりません。「脊柱モーション・パルペーション」を読み、大まかな操作法や鑑別診断を理解し、実際に実践してみる。そして、この「カイロプラクティック・ノート 2」を参考にして、より細かい操作を試みる。これが基礎の練習です。モーション・パルペーションのビデオやDVDを持っている方は、さらに、それらを見て操作を勉強し、実際に使ってみてください。そして、難しく感じる部分、わかりにくい部分を、繰り返し勉強してください。

最も効率的にモーション・パルペーションをマスターする方法は、よい先生を見つけることです。そして、正しい基本をしっかりと身につけることです。しかし、先生に教えてもらうとしても、それだけで上達することはできません。先生から学んだことを自分で繰り返し使ってみることが大切です。技術は「教えてもらえばすぐにできる」というものではなく、繰り返し練習することでしか身につけることができません。繰り返すことによって、自分自身の身体にその技術を覚え込ませます。練習しなければ、どんな素晴らしい先生が教えてくれたとしてもモーション・パルペーションをマスターすることはできません。

頭だけでなく、身体が操作を覚えてしまうまで、繰り返し実践することです。そうすると、初めて頭と身体を自然に動かすことができるようになります。それによって、自分にとって最も使いやすい方法、また患者に最適であると思われる方法を、患者の状態にあわせて、症状にあわせて、そして各々の脊柱にあわせて、使い分けることができるようになります。

幸運なことにモーション・パルペーションは検査法です。それも無痛で、できるだけやさしく行わなければならない検査法です。よほど難しい患者を除けば、ほとんどの人に無理なく行うことができます。どこも悪くないという人でも、必ずどこかにフィクセーションを見つけることができます。完全に正常な人はいないからです。ですから、毎日少しずつでも、自分の家族や友人、そして患者に使って練習を心がけることです。

私がモーション・パルペーションにめぐり会ったのは45年前です。以来、私はモーション・パルペーションを毎日使い続けてきました。おかげでモーション・パルペーションのことが少しずつわかってきたような気がします。その間に、私のモーション・パルペーションは、自分が使いやすいように、また、より正確な検査を行うことができるように、少しずつ変化してきました。より小さな力で関節可動性がわかるようになってきました。それによって、より小さなフィクセーションも見つけられるようになってきました。そして、モーション・パルペーションを基礎とした“患者にとってやさしい治療法”も考えられるようになってきました。

しかし、関節の可動性は患者一人ひとり異なります。難しい患者に出会うと、いまだに可動性がわからなくなることがあります。そのときは、もう一度、基本に戻って操作を1つずつ正確にやりなおすことにしています。基本に戻ると、より明確に可動性異常がわかるようになるだけでなく、今まで気づかなかった細かな可動性異常を認識できることもあります。

みなさんもモーション・パルペーションを学ぶ場合、まず基本のモーション・パルペーションを練習してください。繰り返して練習することです。最初からすべてわかっている人、できる人はいません。一歩ずつ着実にマスターしてください。そうすれば、必ず、基本モーション・パルペーションが自分のモーション・パルペーションに変化します。それは、あなたにとって最も頼ることのできる検査法になるはずです。

最後に、「モーション・パルペーション・ノート」のカイロジャーナルへの連載と本書の出版の機会を与えてくださった科学新聞社社長の斎藤信次氏、ならびに終始編集作業のご協力をいただいた北川完二写真事務所の北川氏、さらに何度も校正作業を手伝わせてしまった私のオフィスのスタッフ、佐藤憲三君、佐藤奈津子さん、川口優季さん、小野清君、中川達雄君、藤原正行君、中井佐由理さん、石井秀典君、そして私の妻、ひろ子に心からお礼を申し上げます。

2011年12月
中川 貴雄